レースリポート
若いからこそ「力ずくの勝負」に挑む山下奈緒 びわこ
2023.01.18
世の中には定義が定まらない言葉がある。
たとえば「若手」が、それだ。
「新人」や「ルーキー」であれば、その世界に入って1年未満の者を指すのが一般的だが、「若手」の輪郭はぼんやりとしている。
会社の中では20代だろうか。あるいは社会人5年未満だろうか。
人によって感覚が異なるのかもしれない。
ボートレース界には「ルーキーシリーズ」なる大会が存在するが、これは登録6年未満とカテゴライズされている。基準のひとつとして参考にしたい。
大阪支部の127期・山下奈緒は2020年11月に住之江でデビュー。3年目の27歳である。まさにルーキー世代だ。
ここまで366走して2勝と、なかなか成果を出せないでいるが、これからが楽しみな逸材である。ポテンシャルが高いのだ。
4歳から大学まで柔道ひとすじ。近畿大学在学中には48キロ級で全国5位という成績を残している山下奈緒は、アームレスリングの西日本大会2位の記録ももつ純然たるアスリートだ。
大学卒業後、いったんはスポーツ用品メーカーに就職したが、小学校4年生の時からの夢が捨てきれず転向を決めた。
「住之江で見たボートレーサーのかっこよさ」がずっと頭に残っていたのだ。
その取り組み姿勢は「がむしゃら」で「ポジティブ」。
「当たって砕けろ」の精神で満ちている。
「スピードのある豪快なターンで勝ちたい」と語るように、握って回るのが勝利のイメージ。アームレスリングに象徴されるように「力ずく」で相手を抑え込みたいのである。
柔道の世界では「柔よく剛を制す」ともいうが、若者が力いっぱい戦う姿勢は共感を呼ぶ。
「たくさんの応援が力になるので、ぜひ応援してください」と言っているように、これからファンの声が支えになるだろう。
次の参戦は、あす19日開幕のびわこ男女混合戦。
デビューしてからの2勝はすべてイン戦だが、3連対率の高い3コースで結果を出す日がきっとやってくる。心待ちにしたい。初日は9Rの5枠である。